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私は最近、昔古本屋で手に入れた4巻本の『三好十郎の仕事』(学芸書林)を折々に読み返しています。この劇作家のことをご存知の方はいらしゃるのでしょうか? 一昨日読み返したエッセイ「清水幾太郎さんへの手紙」は、発表された当時(1953年)相当話題になったようですが、今読んでもまったく古びた感じがしません。それどころか、このような“他人の理屈を借りずに自分の頭で考え抜く”“自分の感じ方を真っ正直にぶつけていく”論争のしかけ方がほとんど見られなくなっている、ということに逆に気付かされるのです(小賢しい議論は巷にあふれているけれど……)。
『三好十郎伝 悲しい火だるま』(片島紀男・著、五月書房2004)という伝記には彼の作品から引用もたくさんちりばめられていて読み応えがありますが、とにかく三好十郎のひたむきな生き方・苦しい闘い方そのものの軌跡がすさまじく、「日本人というものについて深く考えてみよ」と、この亡き作家が語りかけてくるように感じられるのです。本物の偉大な作家はみなそういう感じを与えるのでしょうが、敗戦・戦後という時代の大転換期を、頑固で、地に足をつけようともがきながら、誠実に生き抜いたこの作家は、私にとってはその時代を刻印する“良心”のように映ります。ほんと、素晴らしい日本人ですよ。 by uedaki | 2008-02-07 15:45
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